暗黒星雲

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2009年 01月 20日

俺の・好きな・塔の歌 2009年1月号

きみのすべてを肯ふといふにあらざれどそのさびしさはすべて宥さう (永田和宏)
母とあふ稽古のやうに月の夜は唐谷川の音ききにゆく (大橋智恵子)
地に生くるものとして立ち風を受くいまだ芙蓉の開かぬ時間 (亀谷たま江)
寄り合ひて咲きても静かなつはぶきにひとすぢひとすぢ雨落ち始む (亀谷たま江)
チャイム鳴らしやがて男の去りゆくを居らぬつもりのわれは見ており (藤井マサミ)
まちがえたとまがもは向きを変えにけり鴨ならぬわたしを岸に残して (藤井マサミ)
追いつめる楽しみありしに気づきたり夏にも出で来ぬチャバネゴキブリ (酒井万奈)
雷の落ちしごと潰えしと友嘆く計算し尽くしし老後計画 (酒井万奈)
秋の庭にへび棲まわせてわたくしはベルディを聴く雨の降る午後 (助野貴美子)
水くぐる少年の肢ひらき閉ぢ水面に出でて夏は終りぬ (鈴木俊春)
編みなおすべく解くたびに毛羽だちて磨り減る糸と知りつつも吾は (沼尻つた子)
放たんとせし蟋蟀が風呂の湯に落下したりぬ死んでしまひぬ (船曳弘子)
つなぐたびふりほどかれてしまう手よつなぎなおせばコスモスゆれる (中村明美)
昨日より塀を動かぬ大き蛾の位置確かめて喪章をはづす (清水弘子)
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by araimitsu | 2009-01-20 11:40 |


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