暗黒星雲

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2009年 05月 01日

俺の・好きな・塔の歌 2009年4月号

尾を齧り腹を齧りて頭を齧る一人の昼は鳩のサブレを (三井修)
骨埋めし異国の土になじみしや若かりし兵の年を重ねて (澤辺元一)
向かい席のマスクの上の目に見らる何か悪いことわたしはしたか (藤井マサミ)
木に残る枯葉にかくれ早も咲くマンサクマンサクいそがばまわれ (安原誠子)
さまよへるバス停とよぶ きのふより青葱畑の角におかれて (小林幸子)
盛岡に帽子は厚くひとたびもひとすれ違うなき道帰りゆく (田中濯)
水を飲む喉の動きを思い出す冬の新聞折りたたむとき (田中濯)
鯨だって空を翔びたきこともあらむ白ナガスの群冬空を行く (船曳弘子)
そこここの庭に囀る朝すずめつがいは来たかきようも問う妻 (原田直)
闇はらむ藪の刈られてこの冬は人にあらざるものに遇わざり (加藤ちひろ)
合唱のなかのあの娘が好いなどと見入る師走の第九映像 (今田龍郎)
少し離れお握り食えば喉詰まり見知らぬ街で死にそうになる (常願寺哲満)
電柱に派手な広告また貼られ芥漁りつつ鴉が見上ぐ (藁科山女)
いつの日か後悔する日があるのかな がんばらないと決めたわたしを (白石瑞紀)
ジーパンの老人会長狩野さん喰べきれぬからと饅頭くるる (加瀬和夫)
縫ふ書くを許されずゐる日常を羽根をもがれし鳥と思ひぬ (潔ゆみこ)
あなたには言えないことのいくつかのうちの一つに我の飢えあり (敷田八千代)
左の胸が痛い忠誠を誓う騎士のように胸押さえて深くうつむく (水橋あかり)
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by araimitsu | 2009-05-01 15:39 |


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