暗黒星雲

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2009年 10月 01日

俺の・好きな・塔の歌 2009年9月号

雨と聞きなどか安けき日のあるを妻にいふなく発ちて来にけり (溝川清久)
大阪湾の潮の匂いに反り返りジンベイザメは白き腹見す (池田富美子)
聞き逃すまじき隠喩か明け方の抑揚しるき鳩の鳴き声 (尾形貢)
今日三度めのきつねの嫁入り雨粒はひかりのなかに奥行きを生み (なみの亜子)
十五号の喪服を今の身の丈に合わせて十一号にかえたる六月 (近藤桂子)
九階のベランダより見し閃光は遠雷なれど心が騒ぐ (髙畑かづ子)
をさなごの指汚れたり知らずともよき事知りし我が指握り (関口健一郎)
ぽつぽつと黄色き花の明るみに夕暮れの道月見草あり (伊藤恵美子)
さるすべりの下に木彫りの鴨居ると眺めて居れば動き出したり (舩曳弘子)
行くからと玄関の靴さらひ段ボールに入れて子どもは消えてしまへり (大河原陽子)
実体のなきさびしさは消えるのも早くてパンにバナナのせて食う (白水麻衣)
原付で夜学に通う帰り道夏の暑さを切り裂き走る (生谷俊介)
次次と心配の種採りこぼしわが畑には雑草の絶えず (小林則子)
ほのぐらき水に沈んでいくようなサティのピアノ聞きて眠りぬ (佐原亜子)
卯の花の咲く道でした蛍ひとつ祈りのように消えてったのは (三谷弘子)
梅雨寒の朝の淋しさ会ひたいな黄色い服の似合ふ妹 (村井玲子)
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by araimitsu | 2009-10-01 16:54 |


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