暗黒星雲

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2009年 10月 26日

俺の・好きな・塔の歌 2009年10月号

馬の死に間に合はざりし夢に覚め右に寝直るまだ夜が深い (河野裕子)
枝豆を茹でた匂ひがくらやみに悪意のごとく残りてゐたり (花山多佳子)
けつと思ひへとも思はず過ぎにけりいくばくか傷を負ふも堪へつつ (真中朋久)
熱き紅茶を貴方に淹れている夢だった 新しき紅茶々碗を出して (諏訪雅子)
空の月がふたつになっても畏れない宇宙へ拡がるわたしの老眼 (澤辺元一)
キアゲハのいつまでもまとわりいるあたり山椒の木のありたるところ (藤井マサミ)
夕空に水の音聞く父も母も水の音もて過ぎてゆきたり (青井せつ子)
車椅子ぐらし嘆かず静かなる人に買いくる初夏の白桃 (酒井万奈)
つる嘴を振り下ろすごとつばめの巣くずし烏は雛を呑み込む (上条節子)
はつなつの空の高さを測らむとオフィスの窓にノギスをかざす (永田愛)
立葵ぱぱーんと咲きて梅雨明けて上司二度目の出奔をせり (数又みはる)
薄物を出して仕舞いて恋終わる畳紙を秋の風過ぎてゆく (水橋あかり)
真夜の満月火星間近に光らせて劫初も宙は寂しかりしか (水橋あかり)
おまへなんてあなたにいはれることはない泣かない顔がこちらを向きぬ (久保茂樹)
送別会に来てきっちりと一人分の会費を払って部長は帰る (かがみゆみ)
笛の音にあわせるごとく野芥子ゆれひとりの少女歩いて来たり (荻原伸)
梳かれつつひと月前の運勢を午後のサロンに照らし合わせる (吉丘みれい)
「買っちゃった」六十男に指環見せ笑みし女の底知れなさよ (村﨑京)
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by araimitsu | 2009-10-26 13:17 |


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