暗黒星雲

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カテゴリ:塔( 128 )


2009年 09月 13日

塔2009年6月投稿→2009年9月掲載<栗木京子選>

白壁に我が影うつす午後二時のあの日とおなじ太陽の位置
早とちりしてばっかりのきみだから雨傘をさすつばめを見たら
水張田飲み干せばほら泥のなか田螺が夢を見ているだろう
音源を探して歩く浮沼を田んぼのなかを田螺のように
ひよどりがあつまり鳴きて我に告ぐ邪悪なものの来たらむことを
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by araimitsu | 2009-09-13 20:34 |
2009年 09月 12日

塔大阪歌会2009年9月詠草

獅子唐が真つ赤に熟れる夏果の朝のあなたはいらいら化粧ふ
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by araimitsu | 2009-09-12 22:37 |
2009年 08月 31日

俺の・好きな・塔の歌 2009年8月号

助動詞のつとぬの違ひ要するにきつねとたぬきと思ひて楽し (小林信也)
血のなかを光の通るおどろきに雲雀は高く高く鳴くのか (藤田千鶴)
明日咲かん力むりりとぼうたんの蕾立ちおり朝光の中 (青井せつ子)
乱切りの乱が許せぬ子がわが子胡瓜の白き短冊ならぶ (出奈津子)
法名の海の一字に触れたくて父の命日墓参りする (今西秀樹)
この街に娘ゐるなり頑張つて働きゐるなり会はずに帰る (大塚洋子)
でかい葉に延齢草は花一つ わたしもひとつの花になりたい (大内奈々)
鳶尾草の白き花びら風に顫ひつひに出せざる手紙のありき (安藤純代)
「はこた人形」箱入り娘のことなりて目、唇小さくはにかみている (桑田のり代)
湯たんぽの中にひとりの婆の居て笛吹きケトルに呼ばれておりぬ (本間温子)
ぶらんこが大きく後ろに振れるとき宙に抜け出す何ものかあり (加藤都志惠)
豆絞りの日本手拭配られて打ち振れといふ 領巾のごとくに (船曳弘子)
どの部屋に居ても私はばあちやんか空耳のやうに泣き声聞こゆ (朝山桃花)
夏までに如何ですかと差し出さる脱毛無料ご招待券 (石原しょう子)
老い人が憩いておりし辻の石ときおり鳥を見かけるばかり (石原しょう子)
「さよなら」と言ったとたんに繭籠るわたしのことを誰も知らない (古賀公子)
本当に私がやつた事なのか失せたる鍵は冷蔵庫の中 (古賀公子)
うるさいと小石を投げしその日より鴉に追はるる人と知り合ふ (結城綾乃)
春菊の葉の香をかぐと嫌な顔をする私の仔犬と娘の子供 (結城綾乃)
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by araimitsu | 2009-08-31 14:48 |
2009年 08月 31日

塔e歌会2009年8月詠草

凭れあひ鞄だきしめ目をつむる夢から醒めたくない戦士たち
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by araimitsu | 2009-08-31 10:52 |
2009年 08月 13日

鹿に逢う (2009年8月号特別作品小林幸子選)

春風に溶けだしていく野や森の意図したことも意図せぬことも
鹿に逢うまえにうかんだ泡粒のような楽想かきとめなくっちゃ
三月のうさぎの紅い目がうるみつなぐ手をふりほどく僕たち
会いたくて天気雨ふる畦道のすみれの花をつまんでたべる
月曜のビルの谷間を降ってくるカタカナだけで書かれた手紙
制服の暗いひとみに揺れるものあるんだけれど罠かもしれぬ
駅前の広場で別れあの日から五日待ってる土鳩の帰還
石段をかけ上がり来て我に説く青きくちばし閉じることなく
ふらふらと歩いてさがすみぎひだりこれからともに生きていくもの
まだ寒い水辺に並ぶもの達は煮ても食えない山からのもの
あてもなくさまよいながら待っている亀鳴く春を雑木林で
アルバムにきれいに整理して残す草冠の漢字をあつめ
海亀の嘘だったのね三日月が光る浜辺に落ちて来たって
ピクピクと手に残るのは質として切り捨てられたヤモリの尻尾
麦踏みに頬被りしてその人は寡黙であった田螺のように
ゆっくりと涙をぬぐう密林のひだまりに棲む蜥蜴のように
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by araimitsu | 2009-08-13 09:32 |
2009年 08月 13日

塔2009年5月投稿→8月掲載<花山多佳子選>

春雷に撃たれたるごと目をみはりみごもれる子はてのひらを当つ
我が母の田んぼで歌うその声に田螺が集い昼寝している
医者にさえ分からぬ叔父の病因を「田螺を食ったせいなり」と母
あかときの遠雷をきき高き背の革張り椅子がぎくとみじろぐ
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by araimitsu | 2009-08-13 09:22 |
2009年 08月 10日

塔大阪歌会2009年8月詠草

夕立に会はなかつたといふきみのひたひの汗にひかる月影
ひかがみの三日月型のあをあざをみてゐるうちに行つてしまへり
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by araimitsu | 2009-08-10 09:56 |
2009年 07月 30日

塔2009年7月e歌会詠草

ありあけの月は冷たく妹はうつすら口をあけて寝てゐる
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by araimitsu | 2009-07-30 13:22 |
2009年 07月 15日

俺の・好きな・塔の歌 2009年7月号

風荒き寒の戻りのみづうみに北帰のばさむ鴨のゐるべし (武田久雄)
色つぽい夢を昨夜も見たといふ老母は突然含み笑ひす (吉田健一)
前を向き後ろを見ずに後ろへと手を差し出した新月の夜 (紺屋四郎)
背赤後家蜘蛛も潜みし広き庭花あふれいんアーモンドの木は (酒井万奈)
吊り革のまんまるがもっともっともっと大きくあらばかおまで入る (深尾和彦)
でこぼこに乾ける土手の青き踏む「塔」二年生になりにけるかも (石川游)
春深しかべのかがみがかたむいていてもわたしはかたむかなくて (上澄眠)
海原を足湯につかり眺めみる風の荒れ吹く潮見坂より (安井啓一)
ドアを蹴った人は部内に見つかってそののち静かに異動となりし (徳重龍弥)
一匹の狸が私をうかがいに来る日の続き来ない日は待つ (森真澄)
竹やぶも夜は力を抜きいしか裏屋根半ば隠すほど垂る (森真澄)
遠くより聴こえる声とふり向けば樹々の葉ずれを風の運べる (海野翔)
また来るねこれが最後になるなよと撫でつつおれば時刻(とき)近づきぬ (及川謙)
草刈機に慌ててうごく赤蛙ジャンプは弱く啓蟄二日 (梶野敬二)
その次のことば知りつつ待たれをり言はぬ理由を我さへ知らず (佐藤陽介)
恍惚と言わるる齢になりながら刺ある言葉にひと日こだわる (篠原史)
五月雨の切れ目に今日も雨蛙わが駄菓子屋を冷やかしに来る (外輪清孝)
遺影見て立ちつくしいる部屋のなか手を引く吾と母とが過ぎる (橋本英憲)
大切なものはすべて消えそうで夕陽は怖い父逝きし日より (宮坂昌余)
水虫をつれて来たのは花嫁だと言つてゐるのが花婿らしい (佐竹永衣)
何んとなく捉まるところが欲しくなり細きわっかに指とおしおり (二貝芳)
久々に訪ねる母をおそれいつ母は母たりわれの母なり (原田直)
魔笛序曲聴きゐるときに隣席に座る君との結婚決めし (山下太吉)
お月さんみたいなお陽さん出てた日はひねもす芥子の香りがしてた (高橋武司)
飛びながら死にゆく鳥のさびしさに夜半に髪梳く眼を閉じて (数又みはる)
ゆふぐれのドアーをひらけば日に映えてわが生れし日の春の死者たち (数又みはる)
ああふいに会話は途絶え炭酸の泡の細かにのぼるサイダー (常盤義昌)
流体はわが意志よりも重たくて升のふちより酒のこぼるる (畠中隼人)
月光のかけらのように落ちてくる花びらの向こう行ってはならぬ (西川啓子)
意図さぐるゲームのカード差し戻すわたしがわたしであることのため (西野明日香)
お母さんがいるところにはぼくがいるそのりゆうはだいすきだから (吉澤和人)
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by araimitsu | 2009-07-15 11:51 |
2009年 07月 13日

塔2009年4月投稿→7月掲載 <真中朋久選>

忘れたと言い張る姉が夢にみる首を掻かれた父親の顔
青黒いあの山並を越えゆけば海に夕日が浮かんでいるはず
春の宵熱おびひかるきみの名に丸く小さな済の印捺す
呼び出され駆け出していく雨の中きみだったんだ僕ではなくて
感情の干満或いは満ち欠けに言い訳をせず受け入れるのみ
ぶり返す寒さの朝の光受け歩道に倒れている自転車
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by araimitsu | 2009-07-13 11:53 |