暗黒星雲

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2009年 05月 20日

塔2009年2月投稿→5月掲載 <吉川宏志選>

約束の時間が過ぎて立ち読みの詩集は徐々に重さ増しくる
雪の日の洗濯物を取り込んだ後に祈った知らせを受けて
前後して訃報が届く雪の日にあなただけではどこにも行けぬ
夕闇に貼りついている顔がある扉はずっと開かれたまま
早口のウエイトレスはこの俺が異星語分かると思い込んでる
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by araimitsu | 2009-05-20 17:24 |
2009年 05月 19日

俺の・好きな・塔の歌 2009年5月号

春弥生あの世この世と地つづきの母を思へば空中ブランコ (亀谷たま江)
ここまで来たら無かったことにはできないと陣痛の半ばほどに思いき (川本千栄)
湯湯婆のぬるきを抱へ思ひゐる夜明けの夢に帰しし男 (山下れいこ)
かなしみは直截に来る少年のごとき平らな胸であるなら (梶原さい子)
格別な理由はあらず呉駅のバス・ターミナルに涙零すは (谷口純子)
心地よくみな濡れてゆくバスを降りわたしも濡れてゆくきつね雨 (髙橋窓)
穏やかな娘の笑ひがこの家の空気調節してるがごとし (川村みゆき)
山梔子の木の下影に埋めて置くBといふ名の黒白のネコ (佐竹永衣)
けふ去りていのちの縄につかまりぬわれは瘤のある人参を煮る (瀬川しん)
車椅子とベッドの間を往き来できる脚の力が欲しいぞ吾は (廣瀬達雄)
食べるとき帽子を脱ぐと三ミリの丸刈りにした頭が寒い (山崎一幸)
二十点は気合で上がると教わりて風呂場で入れているらし「気合」 (山下裕美)
ああ風はつめたく音は深きかなわがうちにわれ収まりゆきぬ (加藤ちひろ)
月の夜をわれに先立つわが影とポストへ楽しき手紙出しに行く (石川啓)
まっすぐに青芽出揃ふ麦畑彼方に若き母が立ちをり (森敏子)
手のひらを置かれゐる背の温かし小さく呼びつつ夢よりさめぬ (清水弘子)
脱衣所は通過点なり風呂に入るためだけにただ服を脱ぎおり (白水麻衣)
だんだんとこの世はくらく凝れるも胸の振子はカチカチと鳴る (武部秋夫)
また気分を害してしまった夫がいる夫でなければうまくやるのに (髙畑かづ子)
鍵盤の白と黒とが競ひ合ふ熱ある夜の夢の中には (田中律子)
俺の怒りを解くことおまえは知らないと怒鳴られている夕暮れの中 (鈴木麻衣子)
降りしのちエレベーターはましぐらにわが呼気のせて屋上へゆく (一宮雅子)
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by araimitsu | 2009-05-19 18:00 |
2009年 05月 17日

京都皐月歌会詠草

草むしる男は首を太陽に差し出し焼かる贖罪のごと
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by araimitsu | 2009-05-17 14:31 |
2009年 05月 01日

俺の・好きな・塔の歌 2009年4月号

尾を齧り腹を齧りて頭を齧る一人の昼は鳩のサブレを (三井修)
骨埋めし異国の土になじみしや若かりし兵の年を重ねて (澤辺元一)
向かい席のマスクの上の目に見らる何か悪いことわたしはしたか (藤井マサミ)
木に残る枯葉にかくれ早も咲くマンサクマンサクいそがばまわれ (安原誠子)
さまよへるバス停とよぶ きのふより青葱畑の角におかれて (小林幸子)
盛岡に帽子は厚くひとたびもひとすれ違うなき道帰りゆく (田中濯)
水を飲む喉の動きを思い出す冬の新聞折りたたむとき (田中濯)
鯨だって空を翔びたきこともあらむ白ナガスの群冬空を行く (船曳弘子)
そこここの庭に囀る朝すずめつがいは来たかきようも問う妻 (原田直)
闇はらむ藪の刈られてこの冬は人にあらざるものに遇わざり (加藤ちひろ)
合唱のなかのあの娘が好いなどと見入る師走の第九映像 (今田龍郎)
少し離れお握り食えば喉詰まり見知らぬ街で死にそうになる (常願寺哲満)
電柱に派手な広告また貼られ芥漁りつつ鴉が見上ぐ (藁科山女)
いつの日か後悔する日があるのかな がんばらないと決めたわたしを (白石瑞紀)
ジーパンの老人会長狩野さん喰べきれぬからと饅頭くるる (加瀬和夫)
縫ふ書くを許されずゐる日常を羽根をもがれし鳥と思ひぬ (潔ゆみこ)
あなたには言えないことのいくつかのうちの一つに我の飢えあり (敷田八千代)
左の胸が痛い忠誠を誓う騎士のように胸押さえて深くうつむく (水橋あかり)
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by araimitsu | 2009-05-01 15:39 |
2009年 05月 01日

塔e歌会2009年4月詠草

あかときの遠雷をきき高き背の革張り椅子がぎくとみじろぐ
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by araimitsu | 2009-05-01 13:43 |