暗黒星雲

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2009年 08月 31日

俺の・好きな・塔の歌 2009年8月号

助動詞のつとぬの違ひ要するにきつねとたぬきと思ひて楽し (小林信也)
血のなかを光の通るおどろきに雲雀は高く高く鳴くのか (藤田千鶴)
明日咲かん力むりりとぼうたんの蕾立ちおり朝光の中 (青井せつ子)
乱切りの乱が許せぬ子がわが子胡瓜の白き短冊ならぶ (出奈津子)
法名の海の一字に触れたくて父の命日墓参りする (今西秀樹)
この街に娘ゐるなり頑張つて働きゐるなり会はずに帰る (大塚洋子)
でかい葉に延齢草は花一つ わたしもひとつの花になりたい (大内奈々)
鳶尾草の白き花びら風に顫ひつひに出せざる手紙のありき (安藤純代)
「はこた人形」箱入り娘のことなりて目、唇小さくはにかみている (桑田のり代)
湯たんぽの中にひとりの婆の居て笛吹きケトルに呼ばれておりぬ (本間温子)
ぶらんこが大きく後ろに振れるとき宙に抜け出す何ものかあり (加藤都志惠)
豆絞りの日本手拭配られて打ち振れといふ 領巾のごとくに (船曳弘子)
どの部屋に居ても私はばあちやんか空耳のやうに泣き声聞こゆ (朝山桃花)
夏までに如何ですかと差し出さる脱毛無料ご招待券 (石原しょう子)
老い人が憩いておりし辻の石ときおり鳥を見かけるばかり (石原しょう子)
「さよなら」と言ったとたんに繭籠るわたしのことを誰も知らない (古賀公子)
本当に私がやつた事なのか失せたる鍵は冷蔵庫の中 (古賀公子)
うるさいと小石を投げしその日より鴉に追はるる人と知り合ふ (結城綾乃)
春菊の葉の香をかぐと嫌な顔をする私の仔犬と娘の子供 (結城綾乃)
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by araimitsu | 2009-08-31 14:48 |
2009年 08月 31日

塔e歌会2009年8月詠草

凭れあひ鞄だきしめ目をつむる夢から醒めたくない戦士たち
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by araimitsu | 2009-08-31 10:52 |
2009年 08月 13日

鹿に逢う (2009年8月号特別作品小林幸子選)

春風に溶けだしていく野や森の意図したことも意図せぬことも
鹿に逢うまえにうかんだ泡粒のような楽想かきとめなくっちゃ
三月のうさぎの紅い目がうるみつなぐ手をふりほどく僕たち
会いたくて天気雨ふる畦道のすみれの花をつまんでたべる
月曜のビルの谷間を降ってくるカタカナだけで書かれた手紙
制服の暗いひとみに揺れるものあるんだけれど罠かもしれぬ
駅前の広場で別れあの日から五日待ってる土鳩の帰還
石段をかけ上がり来て我に説く青きくちばし閉じることなく
ふらふらと歩いてさがすみぎひだりこれからともに生きていくもの
まだ寒い水辺に並ぶもの達は煮ても食えない山からのもの
あてもなくさまよいながら待っている亀鳴く春を雑木林で
アルバムにきれいに整理して残す草冠の漢字をあつめ
海亀の嘘だったのね三日月が光る浜辺に落ちて来たって
ピクピクと手に残るのは質として切り捨てられたヤモリの尻尾
麦踏みに頬被りしてその人は寡黙であった田螺のように
ゆっくりと涙をぬぐう密林のひだまりに棲む蜥蜴のように
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by araimitsu | 2009-08-13 09:32 |
2009年 08月 13日

塔2009年5月投稿→8月掲載<花山多佳子選>

春雷に撃たれたるごと目をみはりみごもれる子はてのひらを当つ
我が母の田んぼで歌うその声に田螺が集い昼寝している
医者にさえ分からぬ叔父の病因を「田螺を食ったせいなり」と母
あかときの遠雷をきき高き背の革張り椅子がぎくとみじろぐ
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by araimitsu | 2009-08-13 09:22 |
2009年 08月 10日

塔大阪歌会2009年8月詠草

夕立に会はなかつたといふきみのひたひの汗にひかる月影
ひかがみの三日月型のあをあざをみてゐるうちに行つてしまへり
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by araimitsu | 2009-08-10 09:56 |